午後3時前、空はそれなりに晴れ心地良い陽気に上着も一枚脱がなければ行けない程だった。久しぶりになおって戻ってきたカメラのテストもかねて平井から下流へ向かう。出来れば浦安も見てみたいと思って歩き始める。


 もの凄い装備で川から陸へ向かってくる二人の釣り人がいた。どうやら遠浅のここら辺では川の中へ入り釣りをするのが普通らしい。
 ニコニコと表情の柔らかい男性が色々と教えてくれるには、ここら辺ではスズキが釣れるらしい、たまにナマズやウナギがかかるが、スズキが本命で、大きいものだと1メートル近くのものが釣れるそうだ。70センチ以上ともなると格闘時間は5分にもなりなかなか大変だそうだ。
 釣った魚はあまり食べたりはせずにリリースしてしまうそうだが、たまに大物をつり上げると魚拓をとるそうだ。
 寒い時期にはテントを張り、大人数になればバーベキューをやりながら時間を過ごすそうだ。実に有意義だなと、少し羨ましくなった。


 野球少年と女の子がもの凄く中良さげに話しているのが見えて、何故かもの凄くムラムラしたので話しかけた。「怪しく見えるかもしれませんが、怪しいものです。」という一世一代渾身のギャグで掴みをグッと持ってきてからは色々と質問してしまった。
 中学三年生になったばかりだという彼らは付合い始めたばかりだそうで見ていて実にキュンと来る。男の子の方はピッチャーをしていて、将来の夢を聞いたところ「プロになる」と即答してくれた。実に頼もしいと思ったが、多分彼女の方がそれを十二分に感じているのだろうと勝手に思っちゃったりした。セクシャルな事は聞かなかった。


 荒川で初めてポートレイトを撮った。こうやって人と話してその場所がどんな所なのかという事を理解していかなければ私は、多分、その場所を理解出来ない。

 最後の最後に彼ら(カップル)に出会えただけでその日が最良の日になった様な気がしてくる。

 浦安までは遠かった。