5月も終わり。

 外気は45度を越え、綿花を刈り入れ終えたむき出しの地面を太陽がジリジリと照らし続ける。そんな時期に自殺者の数は増え始める。


 事の始まりは約10年前。

 多国籍企業の持ち込んだ、彼らには自家採種出来ない高価なハイブリッド種子や遺伝子組み換え種子の導入である。

 それは、不自然な形での依存を生み出してしまった。

 本来綿花というものは翌年の為に種を取っておき、それを使ってまた栽培するという形であったが、先に上げた二つの種子は翌年に種を取っておけない。

 その為、毎年高価な種を買わなくてはいけない。そして、元の農法に戻そうにも品質だけが上がってしまった状態では一つの農家だけがそれをしてしまうと、その農家の綿花は省かれてしまう。
 地域全体での移行が必要になるという事だ。そして、それは現実的には非常に困難だという事だ。


 それに拍車をかけるが如く、アメリカのWTOのルールを無視した輸出補助金政策によって政府と繋がりのある大農家には大規模灌漑装置や大型収穫機などが導入され、広大な土地で大量に生産された安値で、高品質な綿花が世界中に向けて輸出されている。
 よって、綿花国際価格の下落が引き起こされてしまっている。


 年々上がる栽培コスト(種子及び農薬の値段)、それに反比例して下がっていく綿花国際価格。そのために農民は借金をする。しかし、次の年もまた赤字である。そしてまた借金・・・生活苦は続き日々の生活にも必然的に支障をきたし、末には自殺である。


 では、そこで農家など止めてしまえば良いであろうとお思いの方も多いはずだが、そうはカースト制度が許すはずも無い。
 農村部では敬虔なヒンデゥー教徒が大半を占めている、そう簡単にはやめられるものではないのだ。


 このほかにもこの問題には事情が複雑に絡み合っている。

 全世界の土地で2.5%に過ぎない綿花栽培地であるにも関わらず、世界中で使われる農薬の約11%にもなっていたり、先にあげたカースト制度(ヒンデゥー教において自殺は最もいけないこと・・・だった様な。調べるここ)それに伴う男尊女卑。



 取材不足、自分自身で納得のいっていない作品を公開することには抵抗がある。あるが、事象が事象だけに出来るだけ多くの方に知らせるという最たる目的をいち早く行う為にはやはりwebというものが一番適しているのではないのかと思い、今回公開させていただきます。

 ご意見、ご感想、苦情、批評、批判ありましたら一方下さると幸いです。

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