朝に洗濯をするのは数年ぶりだ。外のツンと刺す空気も柔らかさを持ち実に心地良い。そして、不意に浮かぶインドの朝の光景。

 冬でも昼間は日差しが強く暑いと感じるのとは打って変わって、朝は随分と冷え込む。しかし、その寒さは不快ではなく、どちらかというと心地良く清々しいものだった。
 ことさら田舎の村では、鳥の鳴き声に寒い中水浴びをしている人たちの声が聞こえ、空気が視界を遮らず向こうの向こうまで見渡せる様な、そんな澄んだ空気の中を歩くのが好きだった。

 何を喋ってるのか解らない奴らの事だってその時ばかりは許してやる事が出来る様な気だってしていた。