友人が結婚するという報を聞いて眠気も酔いも覚めてしまった。それは嬉しいという事も勿論あるし、それに付随して何だか置いてけぼりを食らってしまったという絶望感もある。
 こうやって人はどんどん離れていくのだろうかなどと思う事で、ある種の悦に浸っているだけなのかもしれない。それよりも現実だ。自分の現実だ。


 いざ結婚式となるとさすがに写真を撮りたくなってくる。そう考えた時にその様な場所で使える様な機材がまず無いという事に気付く。唯一使えるのはコンタックスのコンパクトカメラくらいで、それで十分かとも思うけれど、無駄にマニュアル感が溢れているんで酔っぱらっている状況でしっかり使えるかが不安だ。

 次に、コンペの日取りだ。海外なので英語だ。たまにイタリア語だったりするのでさっぱり締め切りがいつなのか解らない。去年の締め切りと結婚式がニアピンだという事を考えると結構絶望的だ。「急げ」という事だけは重々に解る。

 そして、何より金だ。物心ついてからの始めての結婚式である。いくら包むのか?飛行機のチケットは取れるのか?そもそも、その頃にそれだけの金が私の懐にあるのか?悩みを生むのは大概金だ。経済は人を豊かにする為に作られたと聞いた事があるが、これでは人を悩ませる種でしかないだろう。


 他人がいる。それで私が成り立っている。そう考えると古い縁というものを蔑ろにするのが無性に勿体ない気持ちになる。大切にしなければ行けないものの前にろくでもない壁が立ちふさがった時に、容易く蹴飛ばせるだけの財力は常にあるべきだ。そう、心底思えた。