写真は知的なパズルだ。何も知らない人達に物事を気持ちよく解らせなくてはいけない。

 有り余る現実の欠片を選んで、それを適当な所へはめていく。その単純にして永遠にも近い行為をひたすらに繰り返して彼らにこびなくてはいけない。自分を生殺しにして、理由を付けて、何とか奇麗に見える絵図らを完成させなくてはいけない。

 いくら奇麗なものを撮っても、いくら真に迫るものを撮ってもそれは所詮それでしか無く、そこに意味をつけるのは撮った本人だ。どうごまかすか、そこが勝負所だと私は思っている。


 しかし、残念ながら私はパズルが苦手だ。そして、大嫌いだ。


 一枚の写真で世界が変えられると思っていた高校生の時とは随分と考え方が変わってしまったが、それが今の私の写真観だ。