私の中で実家に帰るという事はもはや、「写真を撮りに行く」へと変わろうとしている。

 原子力発電施設のある日常というものはあまり知られている様なものではないと私は思う。正直自分もそんなに意識をして暮らしてきた訳でもないし、そこで何か起きているのかと聞かれれば「何も起きていない」という事しか言えない。
 しかし、私の中で極僅かだが何か起きるのかもしれないという思いがある。それは本当に少しの可能性で、出来れば起きて欲しくない事で、起きては行けない事だ。限りなく少ない可能性の中には限りなく多くの感情があり、その中には多分に恐怖と同じ方向の感情が含まれている。
 その、言ってしまえば奇跡の様な可能性があるからこそ実家を尊く思える様な気がしてきた。そういった感情を忘れない為にもう一度だけ確認をしておきたかったのかもしれない。


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