二日酔いを胸に無理矢理多摩川へ向かう。昨日に引き続き晴天。付いた頃には陽が大幅に傾き潮時感が漂う。

 立川辺りから歩き始めるとホームレスホームからエレキギターの哀愁漂う音色が聞こえてくる。少しばかり歌声も混じっている。何故だかそれがもの凄く心地良くてしばらく立ち止まる。
 今度はお宅訪問してみようと心に誓った。


 30分もすると陽はいい加減限界を迎える。仕方なく後戻りしているとカメラを構えたおじさん達が一列に並んでいる。その中の一人に事情を聞くと、どうやら真上から太陽が富士山に沈んでいく日らしい。私も彼らに習い富士山を撮ってみる。

 ある種の宗教儀礼の様に富士へとレンズを向ける彼らを見ていると、何故だかインド行きの飛行機で出会ったムスリムの人を思い出す。飛行機に乗っていながらもコーランを読み祈りを捧げるその傍らで私は二本目のビールを空けていた。