曇り。たまに太陽が顔を出すあたりがいじらしく厄介だ。京王線多摩川はいつもに増して閑散としちらちら見えるのは凧揚げをする家族くらいだ。

 てくてく歩いていると不思議な見た事の無い鳥がいた。いくら近づこうとも逃げる気配もなく目の前で煙草を吸ってフィルムを交換してもさっぱりと逃げず、むしろゆったりとくつろいでいる勢いだ。

 写真を撮っていると近くで釣りをしていた老人がやってきてその鳥に声をかけながらエサをやり始めた。「今年の3月くらいからここに居るんだ」と教えてくれながら黒鳥というオーストラリアとかにいる鳥だとも教えてくれた。
 初めて見た時から毎日の様にエサを与えていたらようやく呼ぶと近くに寄ってくる様になったそうだ。たまにあまりかわいくない調子で「うえー」と鳴く姿は実に愛らしかった。


 本年最後の多摩川で雨も降りもしないのに虹が見れたのが嬉しかった。