3.11以降余震が絶え間なく続きテレビの上方には地震情報が文字情報として可視化されていく。画面上には可愛い女の子や敵に抗う勇者が右に左に一喜一憂している。
 私の目の前には二つの現実が歩き回り正直迷惑だ。私はアニメを見たい。今東北、ひいては福島で起こっている現実とは離れた所で私の現実を束の間だけでも謳歌したいと深夜にひそひそとアニメを見たいとそう願っているにも関わらず、画面の情報には震度5チョメチョメ震度4チョメチョメ・・・と文字が浮かんでは消える。 興醒めである。
 しかしながら私はその両方を常に目の当たりにしていなければある種の平然を維持している事は難しいのかもしれない。この地震情報は私への戒めであり警告なのだろう。
 いい加減アニメばっかり見てないで現実を見なさい。さもなければお前はろくでもない人間になってしまう。まあ、もはやろくでもない人間であるのだからどうという事はないのだけど、これまで執拗に見せられるとどうにも居心地の悪さを感じてしまってしょうがない。

 現実は大体あんまり心地の良いものではない。人が死んだり泣いたりとキチガイでなければ避けておきたいものばかりだ。しかし、それでも見なければいけない現実がある。現に画面上方に嫌でも現れる情報に私は常に気付かされ、自身のやるべき事への思考が優先されている。今は私にとっての有事なのだろう。そう思えてしょうがないが、それでも私はアニメを見る。私の心の平和を取り戻す為に!


 アニメの上をかすめていく地震情報には不思議な感覚を覚える。今ここでアニメを見ながらグッときている私とは別の所で誰かが大地の揺れに心を震わせているという事実にもの凄い違和感を感じるという話しです。