雲が空全体に広がり、時間と共にその厚さは増していった。歩くにはちょうどいい。そんな白丸-奥多摩散策。


 白まるで降りるのは多分初めてだ。山なのに海沢という地名で釣り堀カフェや発電所があって面白い。養殖場のヤマメやイワナがいけすでグルグルと回っているのが何とも面白い。
 誤って多摩霊園の方へ行く途中トンネル工事をしていて発破の予定時刻が書かれていた。その脇を流れる沢では橋脚の工事が行われており祝日にも関わらず4名程の作業員が汗を流していた。

 ようやく誤りに気付き奥多摩駅へ向かい、愛宕山を制覇してみる事にした。

 山道っぽい所に入るとトレッキングウェアに身を包んだカップルがお互いを撮り合っていたので「撮りましょうか?」と声をかけて、ついでに私もという感じで写真を撮らせてもらった。
 千葉から来ているという彼らは山に登ろうかと思ったが、今回は何故か川沿いを歩く事にしたそうだ。持っている杖は老人用の物だと言い、少し恥ずかしげな顔をしていた。

 途中の分かれ道で彼らとは別れ歩いていると舗装された道になり、民家が十数件程の集落になった。発酵食品くさいプラスティックの樽的な物を持ったおばあさんと出会う。
 ずっとここに住み続けて今は90歳だという彼女は若干耳が遠い事を除いてはいたって健康そうに見えた。昔はこの急勾配を歩いて上り下りしていたのでみんな結構元気だという彼女は息子達と一緒に暮らしているそうだ。

 おばあさんにお別れをして、おばあさんが若い頃に鍛えられたであろう坂道をひたすら上る。次第に道は山道へと変わり、登山ポクなってくる。
 いよいよ頂上につくとそこには戦没者を祀る塔(五重塔的な感じ)が現れる。こんな所にもこういった物があるのだと感慨深く思っていると急に便意が襲ってきたので急いで下山する事に決めたが、下りも結構キツい。来た道よりもハードな道をひたすらに下るも、俺の腹の下りの方が早く久しぶりに野グソをしてしまった。幸い水を持っていたのでインドで得たテクニックで水洗浄をしたが、あまり気持ちのいい物ではないと再認識した。