雪が降っている。

 この東京にも雪が降るのだと気づき、周りを見回しても、誰も、気づいている様子は見受けられず、雨か幻かと疑いたくなってしまう。
 しかし、確実に的確に、私の頬を打つそれはまぎれも無く雪で、ついこの前まで見飽きていたモノでも、ここのでは実に新鮮で、寒さを一時なりとも忘れられたという事は、幻ではない。