二日連続の多摩川だ。天気は曇り。今にも雨が降り出しそうな湿り気を帯びた風邪が派だをなめる様に過ぎている。

 予報では昼過ぎから雨だから人なんていないだろうと思っていたが、意外にも多くの人達がいて驚いた。家族で遊ぶ姿や野球少年達が監督にもの凄い剣幕で怒られている姿や(見ているだけで胃が痛くなる)、パラグライダーを点検?している人や、爆睡している人。まあ、そんなのはいつも通りだろう。
 これから雨が降るかもしれないという事をみんな知っているいるはずなのに、そこに止まっている事が何故だかとても不思議で、そんな予報を知っている自分がここに居るのも不思議だ。


 木刀を持った男女が何やらやっていた。興味をそそられない訳が無いので声をかけてみたらそこから弾丸トークは始まった。口外してはいけない事だと度々言う割に色々教えてくれるのは剣術最強の御止流?だったか、これも俗称だった気がするが、そんな感じの流派らしい。今日教わった事を二人でおさらいしている最中で、おじいさんの方は居合いを前からやっていて、それに今日ならってきた事のエッセンスを取り入れられないかと模索しているそうだ。
 武術が大好きだと言わずとも伝わってくる熱意に若干押されながらも興味深い話を色々(寸拳とか刀の重さとか刀の切る部分は先の10センチ位とか昔中国に実在した凄腕武術家の話とか立ち会った瞬間に参りましたと言うくらい凄い話とかセイドウという構えとか)と聞けて何だか楽しくなってきた。ブルースリー好き的な意味で
 不意に二人の関係が気になり「夫婦ですか?」と聞いてみたら「それに近い関係だ」俺ドキドキ「剣友かな?」と何だかはぐらかされた感じだが、もの凄く意味深な感じだったのが妄想を膨らまされる。そう、きっとそのくらいがちょうどいいのだろう。


 天気が悪いと何だかアンニュイな感じになってしまい、人に声をかける事に躊躇してしまう。見えてくるものも何だか光を浴びて無くどこかくらい印象に感じてしまうが、あまり晴れ過ぎていると逆に眩し過ぎて見えにくい気もする。一番添書運が上がるのはやはり夕方で何でもかんでも良く見えてしまう。
 結局私はその時の天気に大いに左右され、気分はその時に見えているのモノの印象を変えてしまう。「河が人の印象を変えているのか、人の感情が河の印象を変えているのか」そんな事を言っていた老人がいたが、未だにどちらが変えているのか解らない。いや、きっと両方だろう。