熱い。それに伴うだるさ。晴天とはまさにこのことを言うのだろう。雲なんてモノはいっさい見えず日本的な薄い青が目に染みる様な昼下がりから歩き始める多摩川
 多分梅雨入りでしばらく行かなくなるのだろうと思うと足は軽くなるはず!もなくとぼとぼだるさに任せて歩いてみる。


 疲れて日陰を探していると大きな胡桃の木が屋根の様になっている絶好の休憩ポイント発見した。そこには猫に囲まれた初老の男性が座っていて、猫が膝の上で丸く眠っていた。中肉中背かつてはサラリーマン的な職業に従事していたであろうシワの少ないふっくらとした顔立ちは東京のそれを思わせたが、どこか柔らかい物腰をしていた。
 その感覚はすぐに明確になり、昨年定年退職をした事に起因するのだと私は知るのであった。

 サラリーマンではなく研究者であった彼は音の静かな小型風力発電機の開発をしていて、今でもたまに顔を出しアドバイスをしているそうだ。小型風力発電機を開発するきっかけはETCの情報幅の大きなあまりを有効に活用する為に、渋滞情報などを送る装置の独立電源確保だそうで、私には詳しい話はいまいち解らなかったがそんな事を教えてくれた。
 それと国交省と警察の不仲、国交省内における河川管理と道路管理の不仲など、おいおいいい加減にしろよ的な話をにこやかにしてくれた。


 久しぶりに歩く京王ー小田急右岸は何だか新鮮であった。その理由はやはり工事が終了した事に関係しているのだろう。真新しいコンクリートの白さが日の光に照らされて目が焼ける思いだった。そして、登戸との辺りに到着すると大音量で流れてくるダンスミュージックに耳を奪われてしまい。実に刺激的な多摩川であったと思うなり。