Ninth Floor

Ninth Floor

 この作品に限った事ではないが、こういったソーシャルドキュメンタリーを見ているとある意味で現実を越えたものの様に感じてしまいドラチックに見えてくる。それはある意味で私達とは違うものだという感覚で一視聴者としての立ち位置を確立されてしまう様な感覚になってくる。それは日本に住んでいるからという事、ひいては一般的に見た普通(先進国的な意味島国的な意味で)の生活をしているからなのかもしれない。
 この作品において作者の存在を感じさせないという事が最もその感覚を増幅させているのだろう。自身の存在を感じさせない透明な意思というものはもの凄く脅威だなあと心底思う。そして、その要因はカメラ目線というものの不在だろう。最後の視線ですべてを要約するという落とし方が実に映画的でしびれる。